今日の会話
大学生と話していると、口元が寂しくなってきたので、久しぶりに一本咥えた。
「あ、マヤさんって、タバコ吸う人なんですね?」
「少しだけね。アナタは?」
「僕は全く。何度か試してみたんですよ。こう、大人っぽいなかって。でも、合わなかったんです」
「大人っぽいから、きっと似合うでしょうに」
知らずに笑みがこぼれた。その大学生は25歳くらいに見えて、喋り方なんかも大人びているのに、タバコは苦手というのが、何だか面白かった。
「僕、心理学を専攻してるんですけどね?タバコを吸う人の心理って、どうなんですかね?」
「心理学?ふーん、賢いのね?タバコを吸う心理って、私の場合は、最初はただのカッコつけだったけど、たぶん、みんなそんなじゃない?」
マヤがタバコだアルコールだを始めたのは、単に背伸びしていただけだったし、周りもそんなノリだった。
「やっぱりそうなんですね?でも、女性だと匂いだとか、気になるんじゃないですか?」
「そうね。でも、きっちりケアすればなんとでもなるし、まあ、見てくれもいいし、禁煙するキッカケもあったんだけど、未だに。ニコチン中毒っていうほどじゃあないけどね」
口元が寂しいというのは、吸わない人間には解らない感覚だろう。
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2011年9月14日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:体験談
年齢なんて関係ない
「アナタから見たら、私なんてオバサンでしょう?」
大学生、20歳から見れば30歳は立派なオバサンだ。大学生は「そんなことはないですよ」と笑って続ける。
「僕から見れば、30はまあ年上ですけど、マヤさん、ずっと若く見えますし、大人の女性って感じですよ」
社交辞令なのだろうが、まあ悪い気分ではない。
「ありがとう。アタナも、20歳よりもずっと大人に見えるけど、言われない?」
「ああ、割と言われますね。老けてるとか、オッサンみたいとか。でもまあ、ガキ扱いされるよりはマシですね」
それは良くわかる、マヤは思った。マヤは童顔なので、高校から大学生くらいのころは、服装が地味だったこともあり、中学生みたいだと良く言われて
大学生になってからメイクをきっちりするようになった。
地味な服装はクール系にして、ロングヘアにして、ヒールを履いた。
タバコを吸ったりアルコールを飲んだりと、目一杯背伸びをしていた。アルコールは仕事をするようになって減ったが、タバコは少し増えた。
結婚を境に禁煙したが、今でも少しだけ吸うことがある。
亭主は真面目なタイプで、タバコは一切吸わず、アルコールはたしなむ程度だが、マヤがタバコを吸うことには特に何も言わなかった。
一度尋ねてみたが「体を害さない程度なら、好きにしていいよ」と言ってくれたので、ポーチの中に一箱、普段から持ち歩いている。
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2011年9月14日 | コメント/トラックバック(0) |
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楽しい時間
そのライブチャットサービス提供サイトには、2ショットとチャットの二つがあって、素顔でチャットというのも妙なので、2ショットを選んだ。
女性側が待機していて男性側からのアクセスを待つ、というのはどこも共通らしかった。
ウェブカメラにキッチンが移りこまないようにノートパソコンの位置を少し調整して、エプロンは外した。
メイクはどうしようか、と少し考えて、少しだけ眉を書いて地味なルージュを薄く引いた。セミロングの髪にはブラシを通して、買い物のときより少しだけマシに見えるくらいにした。
カメラ移りは、まあいいほうだった。25歳と言っても通用しそうだったが、30歳という年齢は今時ならまだ若いほうだろうし、ウソをついても何も得はない。
昼食を終えてしばらくした頃にログインして待機していると、3分ほどでアクセスしてきた。相手は大学生、若い男だった。
10歳近く離れていたが、音楽だとか映画だとかの話だったので普通に雑談できた。
大学生なんて子供みたいだと思っていたが、喋ってみると案外としっかりしていて、見た目も随分と大人びていて、マナーなんかもしっかりしていた。
自分が大学生のころはもっといい加減だったような気がしたが、映画の話で随分と盛り上がった。
ウェブカメラで相手が見えて、相手にも自分が見えていて、声が聞こえるというのは、他のネットサービスとは全く違った、新鮮な体験だった。
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2011年9月14日 | コメント/トラックバック(0) |
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ポイントについて
BBS、電子掲示板は見るだけだったが、チャットには少し参加したことがあった。テレビでフェイスブックというものを知って、こちらもやってみて、今でも続けている。
ライブチャットは名前だけ聞いていて、テレビ電話のようなものだと知っていて、1ヶ月前に始めた。
チャットやフェイスブックと違って有料だったが、30分で3150円、30ポイントをチャージすれば使える程度だったので
特に家計に影響も出ないので、会員登録してポイントをチャージして実際にやってみた。
インターネット上に素顔や名前を出すのはどうだろう、と少し迷ったが、日本でも何十万人もやっているらしいので
まあ大丈夫だろうと判断した。ID登録では「マヤ」と実名を入れて、年齢も30歳と実際の数字を入れた。
ライブチャットサービスを提供しているサイトは山ほどあったが、見た範囲で一番規模の大きいところを選んだ。22時ごろにアクセスすると
女性が50人くらい待機しているサイトで、自分と同じ世代もいれば、ずっと若い女性もいたし、少し上の世代もいた。
仕事でパソコンだのインターネットだのには慣れているが、ウェブカメラというのは初めてだったので、妙な感じだった。
鏡で自分を見ているようで、そんな映像がノートパソコンのモニターに映っているというのが、なんというのか、面白かった。
安物のウェブカメラなので画像は少々荒いが、フルスクリーンでなければまあ見れる程度ではあった。
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2011年9月14日 | コメント/トラックバック(0) |
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主婦でもできる
マヤは、自分がどこにでもいるごく普通の主婦だと自覚していた。
27歳までは仕事一筋で、それなりに評価されていたし仕事にやりがいもあった。
俗に言うキャリアウーマンの類で、そのまま仕事に没頭しても良かったが、同い年で上司だった、今の亭主と付き合うようになって半年、27歳で結婚した。
優しく、理解のある亭主は、子供が出来るまでは仕事を続けてもいいと言ってくれたが、結婚したことで何かが抜けたような気分になり、専業主婦になることを選んだ。
仕事が嫌になったわけではなく、ただ、そうするのが最良だと思ったからで、亭主も、周囲もマヤの判断に賛成してくれた。
専業主婦というのもやってみると案外と大変で、こちらはこちらでやりがいのようなものを感じたが、3年もやっていると慣れて、そして、少し退屈だとも感じるようになってきた。
マンションは結婚直後に購入した掘り出し物の物件で、家計にそれほど負担がなく、それでいて快適だった。近隣ともすぐに仲良くなれたし
定例の集まりなどにも積極的に参加して、思っていた以上にドタバタとしたが、こちらも3年もすれば慣れてしまって
30歳という年齢を実感すると、何だか自分がとても平凡で退屈な人間のように思えてきた。
亭主が暇潰しでやっているゲームなどは肌に合わず、仕事で使っていたノートパソコンでインターネットをうろうろする時間が増えて
1ヶ月間くらいから、ライブチャットというものをやるようになった。
ウェブカメラとヘッドセットは近所の家電量販店で購入した1500円くらいの安物だが、それで足りるようだった。
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話し相手が欲しくて
「――それじゃあ、また明日」
「ええ。では、おやすみなさい」
ノートパソコンのモニター上部につけたウェブカメラに手を振って、マヤはウインドウズをシャットダウンさせた。
壁の時計を見ると午前2時。ダイニング脇の作業テーブルに置いてあるノートパソコンを閉じて、あくびを一つ、マヤは寝室に向かった。ダブルサイズのベッドで亭主がぐっすりと眠っている。
足音を消してベッドに横になり、目を閉じて、マヤはしばらく考える。
普通に学生時代を過ごして普通に仕事をして、27歳で結婚して今年で30歳。生活に不満はないし、亭主は今でも優しく、子供はまだいないが、自分は、まあ幸せなほうだろうと。
このご時勢にファミリータイプのマンションを購入して、近隣との付き合いもそこそこだし、古くからの友人も多く、元仕事仲間との付き合いも未だにある。不満がないどころか、贅沢なほうだろうとも解る。
先ほどまでライブチャットで若い男と喋っていたのは、単なる暇潰しで、浮気だとかそういう大げさなものでもない。
相手の名前や姿、声、性格や職業は知っているが、所詮はパソコンを介してのお喋りで、ゲームみたいなものだ。
それでも、どこか後ろめたい気分になるのは、相手の男が若いからか、その男と1ヶ月近く喋っているからか、亭主が変わらず優しいからか……正直、解らなかった。
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2011年9月14日 | コメント/トラックバック(0) |
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